本格的な冬を迎え、日に日に風呂までの体感距離が伸びている麩之介です。皆さまいかがお過ごしですか。お風呂、どのあたりにありますか。
今回は、某所でフォローしている方の作成されたアドベントカレンダー 「辛さを爆破する(したい)食事メニュー表」 に参加、そのテーマでとりとめもなく考えたことなどを、レシピ付きで書いてみた。
つらさを爆破すると、そこに現れるのが「しあわせ」であるといいと思う。わたしの場合、無条件に「しあわせ」を感じるのはたっぷりの食べ物だ。いろんなものがたくさんあるよりも、大きな皿にドカンと盛られたなにかがいい。そういうものを食べることで、わたしはつらさを爆破することができる。
単一料理のドカ盛りにしあわせを感じるのは、たぶん幼少期の刷り込みだ。最古の思い出は、ホットケーキ。もしくはカステラ。といえば、おそらくピンとくる方も多いと思う。そう、『ちびくろサンボ』、『こぐまちゃんのほっとけーき』、そして『ぐりとぐら』に登場する、あれらだ。(これは余談なのだけど、本で読んだおいしそうなものをつくって食べる習性のあるわたくし、ぐりとぐらのカステラには絶対に手を出すまいと決めている。あの絵の、あの黄色の、縁のところが少し濃い色の、あのカステラに匹敵するものがつくれるはずがないからだ。)
それから、テレビで再放送を繰り返し見た『ハクション大魔王』のハンバーグ。でっかい皿に山盛りの、こんがり焼けたあのハンバーグ。アニメの内容は、ほぼ毎回主人公の少年の家が全壊すること以外覚えていないが、いつか大人になったら〇シンハンバーグを100個買い、どんどん焼いて山積みにして思うさま食らうのだという子供時代の夢は忘れていない。忘れていないしなんなら100個くらい買おうと思えば買える大人になったけれども、中年の胃はそれを決して許しはしないという現実をかみしめる今日この頃、たぶん3個で音を上げる。大魔王の胃はどうなっているのだ。アイツどうみても中年なのに。
ということで、中年にふさわしいドカ盛り料理とは、と考え始めたわたしの頭に即座に浮かんだもの、それは『ルパン三世 カリオストロの城』のミートボールスパゲッティであった。いやまあルパンは年齢不詳(どころか性別も不詳)なんだけれども。いいんだよ細けえことは。クラリスも「おじさま」っていってるし。というわけでスパゲッティに決定。じっさい現在のわたしが「つらいわー。あーつら。つらさ爆発四散すればいいのに」というときによく食べているのがスパゲッティである。
理由① トルコ産のお安い麺をキロ単位で買うので、常にストックがある
理由② 調理が難しくない
理由③ 炭水化物はてっとり早く人をしあわせにする
②については若干説明が必要だろう。そりゃ「麺は中心部に少し芯を残した状態で茹であげる」とか「塩は茹で湯の重量の何パーセント」とか「ソースと麺の仕上がりのタイミングを合わせる」とかいうこだわりがあるのなら調理が難しくないとはいい切れないが、こちとら疲れた中年である、テキトーな塩加減でイタリア人が卒倒するほどぐらぐら茹でた、芯もコシもあったもんじゃない麺のほうが食べるのが楽なのだ。いいんだよイタリア人に食べさせるわけじゃなし。なーにがアルデンテだ噛むのさえ面倒くさい中年なめんな。ソフト麺に栄光あれ。思えばマ・マーゆでスパゲッティがわたしの料理の原点だ。あれの「イタリアン」3食入りを買ってきては、炒めておやつに食べていた小学生時代。よし、あれでいこう。いや、「イタリアン」っていわれても正体がさっぱりわからんし(たぶんトマトソース的ななにかなのだろうが)、ケチャップ炒めのナポリタンにしよう。うん、ナポリタンいいね。ナポリタン食べよう。
では、さっそくはじめましょう。
材料(1人分)
スパゲッティ(乾麺)・・・・・160g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・1/2個
魚肉ソーセージ・・・・・・・・1本
ピーマン・・・・・・・・・・・2個
砂糖・・・・・・・・・・・・・小さじ2
トマトケチャップ・・・・・・・大さじ6
ウスターソース・・・・・・・・小さじ2
サラダ油・・・・・・・・・・・適宜
塩・・・・・・・・・・・・・・適宜
マーガリン(またはバター)・・適宜
その他、お好みで胡椒、粉チーズ、タバスコなど
※「1人分」の「1人」はあくまで「つらさを爆破したい人1人」なので、とくに爆破する必要がなければこの半量でつくっていただければいいかと思う(今回わたくしは爆発を願うほどのつらさを感じていないので、半量でやる)。
※業務用マーガリンを使うとより喫茶店っぽくなるけど、今回調達できなかったため、バターでいく。それとマッシュルームがお高かったので、なしで。
つくり方
1.麺を茹でる。湯に塩(適当)を加えて麺を入れ、袋の表示より1、2分長く茹でる。余裕があれば水浸けしておいてもよい。その場合は4、5分ほど茹でればよいと思う(いつも適当)。
今回は水浸けでいく。7分茹での麺なので、70分以上放置する(茹で時間の10倍が目安らしいが、浸けすぎてもどうということはない)。
2.玉ねぎは縦に薄切り、ピーマンは縦半分に切って斜め薄切り、魚肉ソーセージは長めの斜め薄切りにする。
乾麺の状態から茹でる場合は、茹でている間に具材を切ったりするわけだけど、今回水漬けにした麺を使うので、まだそのまま。炒めと同時進行でちょうどいいと思う。湯が沸いたら炒めもスタートする感じで。
3.強火でフライパンを熱し、サラダ油をひいて玉ねぎ、魚肉ソーセージ、ピーマンの順に投入して炒める。油脂分のコクはバターが担当するので、炒めるときの油はあまり多くしない。具材に油が回ったら、砂糖を加えてさらに炒める。
砂糖を加えるのは甘味を添加する意味もあるけど、具材をシャキッと炒める効果もあるらしい。
4.玉ねぎが透き通った感じになったら、具材をフライパンの片側に寄せ、空いたところにケチャップを入れて混ぜながら加熱する。ケチャップが煮立ったらウスターソースを加え、水分を飛ばす感じでよく焼く。
多いと思うかもしれないが、これでいい。ナポリタンは濃くてナンボ。
5.焼いたケチャップと具材を混ぜあわせ、茹であがった麺、様子を見て茹で湯を少し(おたま半分~1杯程度)、バターをひとかけら(10gほど)加えてガーッと混ぜる。つらさの度合いによっては、最後に追いケチャ追いバターするもよし。
今回はつらくない人1人分でつくっているので、10gのバターを半分に分け、5gずつ加えることにした。追いバターはする派。
これこれ、これですよ。糖と脂と炭水化物。いや炭水化物は糖か。まあいい。これがしあわせのカタマリでなくてなんであろうか。そういえば以前、とあるところにカンヅメになって仕事をしているとき(通いだったけど)、やることが比較的少ないわたしが昼食の調理担当で、いちどナポリタンをつくって出したことがあった(2022年8月14日の日記→ 「日々雑記 2022 Aug. #2」 )。頭から煙が出るのではないかという作業の合間に食べるものとして、これほどふさわしいものはないのではないか。なんせ糖と脂ですよ。そのときたまたま調理の様子を見てケチャップとバターの量に若干引いていた現場責任者様に、「ナポリタンの極意は『思い切り』です」とかいいつつケチャップのボトルを絞ったことを覚えている(さっきといってることが違うが気にしないでほしい)。制作過程を見てビビった人もうまいうまいと食べていたので、まあ間違いのない味なはず、おためしいただければさいわいです。そんじゃーね、チャオ!(イタリアにナポリタンは存在しない)