11/20/2020

姜汁撞奶 (Ginger Milk Curd)

※2020年4月30日に別の場所で書いたものです。そちらの記事は削除しました。



白状しよう。この料理名はなんと読むのかまったくわからない。なので英名を併記した。なぜ英語なのかというと、参考にしたレシピが英語で書かれていたから。わたしはまわりのひとがあまり食べていなさそうなものを食べてみたくなると、検索ボックスに食材名と地域名を英語で入れて画像検索するということをたまにする。そうすると、なかなか面白いものが見つかるのだ。以前 "egg cheese South India"で検索して見つけた "eggs kejriwal" のレシピなど、日本語で書かれたものは当時1件しかなかった。いま調べたら2件あったが(倍増しているとはいえ、ないに等しい)。ていうかこれ英語でも読み方よくわからんな。

それはさておき、そんな風にしてある日見つけた姜汁撞奶。中国は広東省の有名デザートなのだそうだ(ということで、後で調べたら日本語レシピはけっこうあった)。つくり方はシンプルで、生姜の絞り汁に温めた牛乳を注いで凝固させるというもの。じつに面白そうじゃないですか。

というわけで、さっそく実験。なお、参考にしたのはこのレシピです。
"Fail-proof ginger milk curd(姜汁撞奶)" → https://redhousespice.com/ginger-milk-curd/ 

姜汁撞奶 (Ginger Milk Curd)

   材 料 :
 牛乳(成分無調整のもの)    200㎖
 砂糖              小さじ2
 生姜汁             大さじ1


……これだけっすよ。オラわくわくすっぞ。

あ、牛乳はできれば低温殺菌のものがいいと思います。牛乳そのものの味が違うので。

  つくり方
1. 生姜をすりおろして汁を絞る


生まれてこのかた生姜の皮を剥いたことがないので、皮ごとすりおろしております。姜汁撞奶が凝固するのは生姜のたんぱく質分解酵素の働きだということだけど、その酵素は皮の近くに多いらしく、図らずもこれが正解(ズボラもたまには役に立つ)。

2. おろした生姜を茶こしに入れてぎゅうぎゅう絞る


学生時代から使っている茶こしが詰まっているのは見逃してほしい。

3. 牛乳に砂糖を加え、70℃に温める


じつはこれが一番重要。どうも生姜の酵素は作用する温度帯が狭いらしい。いかなズボラ人間といえども、ここは慎重に温度計を使用する。

4. 器の生姜汁をかきまぜてから、温めた牛乳を一気に注ぐ


ひとり調理班&撮影班は注いでいる写真などよう撮らんので、注ぎ終わったところ。ここで重要なのは、牛乳を注ぐ前に生姜汁をかき混ぜ、注いだ後は絶対にかき混ぜないこと!このまま放置!絹ごし豆腐をつくる心構えで!絹ごし豆腐つくったことないけど!

放置している間に、生姜の搾りかすを利用してチャイを作成。


生姜の搾りかす、シナモン、カルダモン、黒胡椒、クローブ入りで、砂糖はたっぷり。


はーおいしい。

ティーブレイク後。ブツは10分で固まるということだけど……見た目ではわからんな。スプーンを乗せてみますってえと


お……おおおおー!!すごい!!面白い!!

これ、本来は温かいまま食べるもののようだけど、元レシピ作成者の方は冷たくしてはちみつをかけ、生のベリーを添えるのがお好みとのことなので、わたしもそれに倣うことにして、ラップをかけて冷蔵庫へ。

さて翌日。


はちみつではなく、メイプルシロップをかけた。ベリーは買い忘れた。まあいい。いざ参る。


……えっ待ってちょっと待って、これめちゃくちゃおいしい!とろっとろの舌触りに爽やかな生姜の香りと上品な辛み、そして驚いたことに、牛乳臭さがまったくない!えー、こんな簡単にこんな美味いものが……すごい、中国の知恵すごい!

じつをいうと、わたしは子供のころ牛乳が嫌いだった。給食の牛乳は心の中で泣きながら飲んだ。いまは紅茶と合わせたりチャウダーにしたりと利用しているけれども、それはなにか他のものと一緒になることで美味しく摂取できることを知ったからであって、いまでも単体で飲むことはまずない。昔から風邪をひくとだいたい扁桃腺を腫らして寝込むので、のどごしのよいプリンを主食にしていたりしたのだけど、そんな状況でも(というか、そんな状況だからなおさら)牛乳と砂糖だけの味がダイレクトにくる牛乳プリンはなかなか食べられず、いまだに苦手なのだ。しかしこれは想像していた味とまったく違う。生姜が牛乳の臭みを完全に抑え込んでいる。もう一度いう。想像していた味とまったく違うのだ。それに加えてふわとろのテクスチュア……なんということだ。わたしは感動している。

11/19/2020

豆乳飲料(紅茶)のフレンチトースト(おまけつき)

※2020年4月23日に別の場所で書いたものです。そちらの記事は削除しました。



わが家のフレンチトーストは、むかし知り合いのおっちゃん(フランス人)に教えてもらった、いわばフランス式フレンチトーストなのである(なんだそれは)。

フランス式フレンチトーストのいいところ、それは思い立ったらすぐつくれるということだ。パンを漬け込み液に長時間浸しておく必要はなく、ものの10分で焼きはじめることができる。その秘訣は、まず牛乳だけをパンにしみ込ませること。たまごは後入れ。それがフランスの知恵(かどうかは知らん)。

このあいだのさばサンドに使用したバタールがいい具合に古びてきたので、今朝はフレンチトーストにしよう、牛乳もあったはずだと冷蔵庫を開けたら、牛乳だと思っていたのは豆乳飲料(紅茶)であった。好物なので冷蔵庫に常備してあるのだ。まあ大きく外れているわけじゃなし、これでいくかといつもの見切り発車スタイル。

 豆乳飲料(紅茶)のフレンチトースト

  材 料 :
 バタール               4㎝厚さを2切れ
 豆乳飲料(紅茶)           100㎖
 たまご                1個
 バター(有塩)            適宜
 はちみつ               適宜


パンはたまたまあったのでバタールを使っているけど、バゲットでも食パンでもなんでもいいです。どうでもいいけど、ミジンコに似ているな。

 つ く り 方 :
1. パンをバットに並べて豆乳飲料をかけ、2、3回返してしみ込ませる
 

たまごを呼び込む役割なので、全部しみ込むまで待たなくてもいいです。

2. たまごを割りほぐし、バットに加えてパンに絡める


このときバットに残っていた豆乳飲料も混ぜ、パンを返しながら吸わせますが、どの程度吸わせるかはお好みで。しっかり吸わせると比較的どっしりとした焼き上がりになり、絡める程度だと中がふわふわな感じになります。

3. 温めたフライパンにバターを溶かしてパンを並べ、蓋をして弱火で5分焼く


バターが有塩なのは、うちには無塩バターを常備する習慣がないからだけど、そうでなくても有塩を使ったほうが美味い。あれですか、スイカに塩かけるような?あんこに塩ひとつまみ入れるようなもの?

4. ひっくり返して、反対側も同様に焼く


裏面を焼くときも蓋をして。これは自立するので側面も一部焼きました。

5. 皿に盛り、はちみつをかける


思いつきでつくったけど、これは存外よいものですよ。普段牛乳でつくるとき、紅茶を混ぜてもよさそう。まあわたしは面倒くさがりなのでたぶんやらないけど(紅茶シロップをかける手があるか)。


さて、ここからはおまけ。

フレンチトーストをつくると、どうしても漬け込み液が残ってしまう。おっちゃん(フランス人)が教えてくれたやり方は牛乳に砂糖を混ぜるものだったのだけれども、何度かつくるうちに、うちでは砂糖を入れずにつくり、あとからはちみつやシロップ、たまには塩と粗挽きの黒胡椒なんかかけたりする方式へと進化(というより退化)した。というわけで、いつもなら残った分はオムレツやスープに使ったりするけど、今回は紅茶入りの豆乳飲料を使用したのでそういうわけにもいかない。でも大丈夫、そんなときはプディングにしちゃえ。簡単だし(わたしがややこしいことするわけがない)、ブリックパックの豆乳飲料はちょうど200㎖なのでこれで使い切れるし。

 ブレッドプディング

  材 料 :
 残った漬け込み液         あるだけ
 たまご              1個
 豆乳飲料(紅茶)         100㎖
 パン               適宜
 メイプルシロップ         適宜

 つ く り 方 :
1. ボウルにたまごを割り入れて溶きほぐし、豆乳飲料とバットに残った漬け込み液を加えてよく混ぜる


泡があっても気にしない。パンのおかげで舌ざわりは気にならないので(わたしがガサツなだけかもしれないけど)。

2. パンを小さく切り、1のボウルに加える


バタールの端っこ10㎝くらい(これだとちょっと多いかもしれない)(なお、反対側の端っこはソパ・デ・アホにしておいしくいただきました)


厚さ1㎝で2㎝角といったところでしょうか。バタールなので角にはならんけど。食パンなら6枚切りを1枚とかかな。

3. ときどき返しながら液をパンにしみ込ませる


完全に吸収した感じ。やはりパン多すぎだった。まあ気にしない、気にしない。あ、ここで干しぶどうなんか入れてもいいですね。

4. 耐熱容器にバター(分量外)を薄く塗って3を入れ、蒸気の上がった蒸し器で中火で10分蒸す


ほんとうは、もうちょっとこうパンが液からちらりと覗いてる感じになるのが望ましいけれども。パン多すぎ。それはともかく、これ180℃のオーブンで20分焼いてもいいです。なぜ蒸すのかというと、うちのオーブンレンジが突然の異音とともに息を引き取ってかれこれ1年半、なんとなくそのまま電子レンジもオーブンもないまま過ごしているから。ああ、そういえば我が家には蒸し器もありませんでした。蒸しものをつくるときは、


鍋に足つきの網をセット。これで蓋をして蒸していきますが、しずくがプディングに落ちないように、蓋に菜箸などをかませて少し開けておくといいです。いま思いついたけど、蓋つきの茶碗蒸し容器でつくるのもアリかも。

5. 10分蒸したら真ん中あたりに竹串を刺してみて、なにもついてこなければ完成


いい感じに蒸しあがり。蒸したてほかほかにメイプルシロップ(またははちみつ)をかけて食べてもいいけど、朝食べたフレンチトーストと基本的に同じ味なので翌日食べることにして、冷めたらラップをかけて冷蔵庫へ。

はい翌日。冷たくしたプディングに、メイプルシロップをかけて


最高。

ブレッドプディングのいいところは、液に泡が残っていても、うっかりスが入るほど蒸しすぎてしまっても、パンのテクスチュアのおかげでまず気にならないところ。つまり簡単で失敗なし。って、わたしが大雑把すぎるだけかもしれないけど。

ところで、豆乳紅茶を買い足しにスーパーに行ったら、こんなのも売っていた。


これでプレーンなフレンチトーストができるのでは。まあしばらくフレンチトーストはいいんだけれども。


追記:
以前書いた記事( → 「フランス式フレンチトースト」 )では、牛乳とたまごは別のバットに用意していた。9年前の記事なので、さばサンドのマリネと同じで、いまに至るまでにわたしの脳内でひとり伝言ゲームが進行したのであろう。たぶんこっちがおっちゃん(フランス人)の教えてくれたやり方だと思われるのだが……どうだかはわからない。このときもひとり伝言ゲームで変わっていた可能性はなきにしもあらず。

11/18/2020

さばサンド

※2020年4月16日に別の場所で書いたものです。そちらの記事は削除しました。



とある雨の日の在宅仕事中、翌日の朝食はさばサンドにしようと思い立った。美味いよなあ、さばサンド。焼きたてのさばに玉ねぎをどっさり、それにレモンをきゅっと絞って。ああたまらん。はやく仕事を終わらせて買いものに行きたい。その後はもうさばサンドのことしか頭にないわたしはほぼ上の空で仕事をやっつけ、ウキウキとスーパーに出かけた。だがなんということであろうか、その店ではさばの切り身が売り切れているではないか。くずおれそうになるのをなんとか堪えたものの、明日の朝食はもうさばサンド以外考えられないわたくし。このままでは飢えてしまう(飢えません)。

なにかが足りないとき、わたしは心の中のマリー・アントワネットを呼び出して尋ねる。王妃様、さばがないのです、お助けください。

わたしの内なるマリー様はこういわれた。「生さばがなければ、さば缶を食べればいいじゃない」

なるほど、さすがはマリー様。さば缶は常に売るほどある。特売と見ると無意識に2つばかりカゴに入れてしまうのだ。いまもストッカーをみたら25缶あった(味付、味噌煮含む)。ばかなのか。中には消費期限が近づいているものもある。なのに安いとなると無意識に買う。ばかなのだな。

翌朝。消費期限間近のさば水煮缶をひとつと、冷蔵庫から使いかけの赤玉ねぎを出してきたが、玉ねぎは残ったらまた冷蔵庫に返すとして、さば缶ひと缶はどう考えても多すぎる。残ったぶんをどうしたものかと考えていて、昔よくつくった茹で魚のマリネに思い当たった。茹でた魚の身をほぐし、刻んだ玉ねぎを加えて塩とオリーブオイルとレモン汁で和えるだけ。マリネをつくって一部をサンドウィッチに使えばいいじゃん。水煮缶なら最初から茹でてあるし。それだそれだ。

ということで、まずはマリネをつくろう。

 さばマリネ

  材 料 :
 さば水煮缶        1缶
 玉ねぎ          1/4個
 塩            小さじ1/4強
 オリーブオイル      大さじ1
 レモン果汁        大さじ1
 パセリ(生でも乾燥でも) 適宜
 クミンパウダー      適宜
 刻むかおろすかしたにんにく(人に会う予定がなければ) 適宜


量はテキトーにつくったものを「こんなもんだろ」で書いたので、お好みで加減してください。玉ねぎなんか1/2個でもいいと思います。あ、それとわたしは赤玉ねぎ使ってますけど、ふつうの玉ねぎでいいです。 


  つ く り 方 :
1. さば水煮は缶汁を切ってボウルに入れ、身をほぐす。(缶汁は味噌汁などに使うといいです)



2. 粗く刻んだ玉ねぎ、塩、オリーブオイル、レモン汁、パセリ(生をみじん切りにしたものが美味いけど、今回は乾燥もので)、クミンパウダー、おろしにんにく(チューブのでいい)を1に加え


さっくり混ぜ合わせる。


以上。見た目はアレだけど美味い。そのままでよし、チーズと合わせてよし。クラッカーや薄く切ってカリッと焼いたバゲットに乗っけたりするとワインに合うね。


 さばサンド

さてサンド。準備するものは、さばマリネ、パン、バター、トマトケチャップ、お好みでタバスコソース。パンはなんでもいいけど、今回はバタールを使用。

1. パンを2枚おろしにして、内側になるほうにバターを塗り、片方にはさらにトマトケチャップを塗る。


甘いのが苦手な方はケチャップのかわりにトマトペーストかピューレでどうぞ。

2. さばマリネをこってりと載せ、タバスコソースを好きなだけふる。


ケチャップを塗った方に載せているけど、どっちでもいい。なんなら両方にケチャップを塗るのも可。

3. 挟んでホットサンドトースターにセット。


これを


ぎゅーっと。こういう器具がなければフライパンに油をひいて、鍋の蓋かなんかで押さえながら焼くといいです。

4. 弱めの中火で返しながら焼く。


外側がパリッとして焼き色がついたら完成。これは油脂なしで焼いているけど、焼くときにトースターにオリーブオイルかバターをひいても美味い。ていうか、ひいたほうが絶対美味いんだけど、わたしひとりで撮影班も兼ねているので、手洗いに時間がかからないようにノンオイルでやりました。皆さまはご存分にオイリーに。

切ってみましょう。


もちろん、そのままかぶりついてもかまわないけど、一応ね。

はじめ、材料のクミンパウダーは「あれば」と書いていたのだけど、食べてみて、これ絶対必要じゃん!となったので「あれば」を取った。なければぜひぜひ買ってきてください。



ところで、これをつくるきっかけになった「茹で魚のマリネ」のもとになったのは


四天王寺の青空古本市で200円で買った(そんなことはどうでもいい)『丸元淑生のシンプル料理』(講談社)に載っていた「小魚のピクルス」で、この本のレシピでは、茹でた鰺、刻んだパセリとにんにくでつくるものだったのが、いつの間にやらわたしの脳内でパセリのかわりに玉ねぎでつくるものへと改変されていたということが、写真を撮るために久々にこの本を出してきて判明した。


人の記憶とはあてにならないものだな。