白状しよう。この料理名はなんと読むのかまったくわからない。なので英名を併記した。なぜ英語なのかというと、参考にしたレシピが英語で書かれていたから。わたしはまわりのひとがあまり食べていなさそうなものを食べてみたくなると、検索ボックスに食材名と地域名を英語で入れて画像検索するということをたまにする。そうすると、なかなか面白いものが見つかるのだ。以前 "egg cheese South India"で検索して見つけた "eggs kejriwal" のレシピなど、日本語で書かれたものは当時1件しかなかった。いま調べたら2件あったが(倍増しているとはいえ、ないに等しい)。ていうかこれ英語でも読み方よくわからんな。
それはさておき、そんな風にしてある日見つけた姜汁撞奶。中国は広東省の有名デザートなのだそうだ(ということで、後で調べたら日本語レシピはけっこうあった)。つくり方はシンプルで、生姜の絞り汁に温めた牛乳を注いで凝固させるというもの。じつに面白そうじゃないですか。
というわけで、さっそく実験。なお、参考にしたのはこのレシピです。
"Fail-proof ginger milk curd(姜汁撞奶)" → https://redhousespice.com/ginger-milk-curd/
姜汁撞奶 (Ginger Milk Curd)
材 料 :
牛乳(成分無調整のもの) 200㎖
砂糖 小さじ2
生姜汁 大さじ1
……これだけっすよ。オラわくわくすっぞ。
あ、牛乳はできれば低温殺菌のものがいいと思います。牛乳そのものの味が違うので。
つくり方
1. 生姜をすりおろして汁を絞る
生まれてこのかた生姜の皮を剥いたことがないので、皮ごとすりおろしております。姜汁撞奶が凝固するのは生姜のたんぱく質分解酵素の働きだということだけど、その酵素は皮の近くに多いらしく、図らずもこれが正解(ズボラもたまには役に立つ)。
2. おろした生姜を茶こしに入れてぎゅうぎゅう絞る
学生時代から使っている茶こしが詰まっているのは見逃してほしい。
3. 牛乳に砂糖を加え、70℃に温める
じつはこれが一番重要。どうも生姜の酵素は作用する温度帯が狭いらしい。いかなズボラ人間といえども、ここは慎重に温度計を使用する。
4. 器の生姜汁をかきまぜてから、温めた牛乳を一気に注ぐ
ひとり調理班&撮影班は注いでいる写真などよう撮らんので、注ぎ終わったところ。ここで重要なのは、牛乳を注ぐ前に生姜汁をかき混ぜ、注いだ後は絶対にかき混ぜないこと!このまま放置!絹ごし豆腐をつくる心構えで!絹ごし豆腐つくったことないけど!
放置している間に、生姜の搾りかすを利用してチャイを作成。
生姜の搾りかす、シナモン、カルダモン、黒胡椒、クローブ入りで、砂糖はたっぷり。
はーおいしい。
ティーブレイク後。ブツは10分で固まるということだけど……見た目ではわからんな。スプーンを乗せてみますってえと
お……おおおおー!!すごい!!面白い!!
これ、本来は温かいまま食べるもののようだけど、元レシピ作成者の方は冷たくしてはちみつをかけ、生のベリーを添えるのがお好みとのことなので、わたしもそれに倣うことにして、ラップをかけて冷蔵庫へ。
さて翌日。
はちみつではなく、メイプルシロップをかけた。ベリーは買い忘れた。まあいい。いざ参る。
……えっ待ってちょっと待って、これめちゃくちゃおいしい!とろっとろの舌触りに爽やかな生姜の香りと上品な辛み、そして驚いたことに、牛乳臭さがまったくない!えー、こんな簡単にこんな美味いものが……すごい、中国の知恵すごい!
じつをいうと、わたしは子供のころ牛乳が嫌いだった。給食の牛乳は心の中で泣きながら飲んだ。いまは紅茶と合わせたりチャウダーにしたりと利用しているけれども、それはなにか他のものと一緒になることで美味しく摂取できることを知ったからであって、いまでも単体で飲むことはまずない。昔から風邪をひくとだいたい扁桃腺を腫らして寝込むので、のどごしのよいプリンを主食にしていたりしたのだけど、そんな状況でも(というか、そんな状況だからなおさら)牛乳と砂糖だけの味がダイレクトにくる牛乳プリンはなかなか食べられず、いまだに苦手なのだ。しかしこれは想像していた味とまったく違う。生姜が牛乳の臭みを完全に抑え込んでいる。もう一度いう。想像していた味とまったく違うのだ。それに加えてふわとろのテクスチュア……なんということだ。わたしは感動している。